2014年5月29日 (仮訳)中国においてヤナギ上に見出されたさび菌の新種、Melampsora salicis-sinicae Zhao, P. et al., 2014. Melampsora salicis-sinicae (Melampsoraceae, Pucciniales), a new rust fungus found on willows in China. Mycoscience. Available at: http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1340354014000035 [Accessed May 29, 2014]. 【R3-00758】2014/05/29投稿 【お読みください】 大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。 3行まとめ 形態形質と分子系統に基づき、中国で5種のヤナギ属樹木から見出されたさび菌をMelampsora salicis-sinicaeとして新種記載した。 本種はM. capraearumおよびM. epiphyllaと形態的に類似していたが、冬胞子頂部の壁の厚さなど、複数の形態形質で区別された。 D1/D2+ITS+EF1-αに基づく分子系統解析でも、本種はこれらの2種と顕著に異なる系統を形成した。 中国内モンゴル自治区フフホト市ホリンゴル県 (新種) Melampsora salicis-sinicae P. Zhao, C. M. Tian & Y. J. Yao 語源…Salix sinica(中国語名:中国黄花柳)の 【よく似た種との区別】 Melampsora capraearum 同じヤナギ属樹木を宿主とする 形態的に類似している(本種がこの種に同定されたことがあった) 夏胞子が球形・卵形・楕円形 冬胞子の長さの範囲が重なる 角皮下生の冬胞子を形成する 冬胞子頂部の壁が厚い ITS領域およびD1/D2+ITS+EF1-αに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり冬胞子堆が葉の両面ではなく上面のみに生じる 本種より冬胞子が短い傾向がある 本種より冬胞子頂部の壁が厚い ITS領域およびD1/D2+ITS+EF1-αに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Melampsora epiphylla 同じヤナギ属樹木を宿主とする 形態的に類似している(本種がこの種に同定されたことがあった) 夏胞子が球形・卵形・楕円形 角皮下生の冬胞子を形成する 冬胞子頂部の壁が厚く、厚さの平均値が類似している ITS領域およびD1/D2+ITS+EF1-αに基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり冬胞子堆が葉の両面ではなく上面のみに生じる 本種より夏胞子が短い 本種と異なり冬胞子が角皮下だけでなく表皮下に生じることもある 本種より冬胞子頂部の壁の厚さの変異が小さい ITS領域およびD1/D2+ITS+EF1-αに基づく分子系統解析で明瞭に区別される Melampsora yezoensis 中国に分布する 同じヤナギ属樹木を宿主とする 角皮下生の冬胞子を形成する 本種と異なり夏胞子が球形・卵形・楕円形ではなく倒卵形~広楕円形 本種と異なり冬胞子堆が葉の両面ではなく上面のみに生じる 本種と異なり冬胞子頂部の壁が厚壁でない ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Melampsora epitea 中国に分布する 同じヤナギ属樹木を宿主とする(Salix wallichianaが共通) 夏胞子が球形~楕円形 冬胞子堆が葉の両面に生じる ITS領域およびD1/D2+ITS+EF1-αに基づく分子系統解析で近縁(ITS領域のみでは区別できない) 本種と異なり冬胞子頂部が厚壁でない(ただし、時に僅かに厚壁のこともある) 本種と異なり冬胞子を角皮下ではなく表皮下に形成する D1/D2+ITS+EF1-αに基づく分子系統解析で明瞭に区別される (その他の分類学的知見) D1/D2+ITS+EF1-αに基づく分子系統解析により、M. capraearumおよびM. epiteaが多系統群であることが示された。